しらす専門店 にんべんいち -大洗で水揚げされる新鮮なしらすをご家庭で-
水産加工から「しらす専門店」へ―
『私の祖父の代では、赤魚の酒粕やあじの干物と言った水産加工をやっていたんです。そこから私の叔父にあたる人が社長をやっていた時に、大洗町近海でしらす漁が盛んになり、それをきっかけに釜茹でする機械などを導入し、しらすを扱うようになったんです。』
そう語るのは、現在代表を務める「にんべんいち」の坂本貴英さん。時代の流れと共に、しらす専門店へシフトしていきました。
『漁師さん達がしらすを取るようになったのが今から2~30年前で、それほど昔でもないんですよ。それに合わせて扱う量も増えていき、この辺りでは最初に大きな窯や乾燥機を導入していきました。そうして工場も拡張し、冷凍庫などの設備を整え、本格的に「ほぼ」しらす専門の業者になっていきました。「ほぼ」と言ったのは、しらすの漁が無い時は干し芋を作っていたりします。』
お客様との接点を増やすために―
『設備も整えて、本格的にしらす専門の業者に舵を切って行った中で、「この味を直接お客様にもお届けしたい」という想いに至り、13年前くらいに店を構えました。事務所の一角を壊して店舗にしたところ、お客様もどんどん来て下さるようになり、お店を拡張して行った感じです。なので、どんどん事務所が狭くなりました(笑)。』
現在も建物の中は事務所と店舗のスペースが同居している空間となっており、独特で味のある雰囲気を醸し出しています。
しらす漁の現状―
『しらす漁は、1月の1か月間は禁漁で、他の11か月間で漁を行います。とはいえ2月から取り始めても、しらすは余りいません。昔はその時期にイカナゴという見た目はしらすのような魚が取れていたんですが、今は全く取れず壊滅的です。お陰様でしらすは今年の夏は豊漁で、この近海でもたくさん取れているのですが、しらすもいつそのようになってしまうかもしれない、という想いはあります。』
坂本さんは、海水温の変化などにより、いつしらすが取れなくなってしまうかもしれないという危機感を持っています。昨今のサンマ不漁の例もあり、「今が良ければいい」という訳ではない漁業全般の課題でもあります。
販売しているしらすの種類―
『そもそも「しらす」とは、「いわしの稚魚」なのですが、その工程によって見た目も味も変わり、様々な味を楽しめるようになっています。
●生しらす
漁師さんが水揚げして、魚市場の競りでしらすを買い、新鮮な状態で工場に持ってきます。工場でゴミ取りをし、電解水で殺菌してプロトン凍結機という特殊な凍結機で冷凍させます。-45℃で急速凍結をする事で、あっという間に鮮度を閉じ込めます。芯までしっかり冷凍するので、解凍した時にドリップが出にくく、旨味も逃げません。凍結前の産地の味をそのまま再現できるのが、「冷凍生しらす」です。とはいえ生ですので、解凍したらその日中にお召し上がり下さい。
●釜揚げしらす
揚がったしらすを窯で茹でた状態のものが「釜揚げしらす」です。柔らかくて塩気が少ないので、すっと食べやすい。とろけてあっさりしています。
●しらす干し
釜揚げしらすを干したものが「しらす干し」です。水分が抜けますので若干固くはなりますが、柔らかさは残しつつも「旨み」が感じられます。
●ちりめん
しらす干しをさらに干したものが「ちりめん」です。食感も弾力があり、塩気も若干強くなり、凝縮された旨みが引き立ちます。大きいものは噛み応えのある食感で、「釜揚げしらす」や「しらす干し」に比べると全然違う印象を受けると思います。
●踊るちりめん
「踊るちりめん」は商品名で、所謂「ちりめん山椒」です。佃煮ですね。この商品は(大洗にある)月の井酒造店さんの「うまくち」という日本酒と、ひたちなか市にある黒澤醤油店の「仁右衛門(にえもん)」という茨城のブランド醤油、そして当社のちりめんを主に使っており、最後に国産の山椒を混ぜ合わせた商品です。ピリッと辛いちりめん山椒です。
このように工程の違いで商品が変わっているのですが、すべての原材料となるしらすは大洗で揚がったものです。この辺りの漁場は黒潮と親潮がぶつかり合ってプランクトンが豊富なので「餌」が美味しい。結果、旨味成分のイノシン酸が豊富なしらすになる、と言われていますね。』
「踊るちりめん」は「大洗ブランド認証品」にも指定されており、本サイトでは『大洗「ご飯がススム!」セレクション[常温]』にラインナップしています。その名の通り、ご飯と一緒に食べるのに最適な商品となっております。しらす商品は、様々な状態のしらすをセットでお届け致しますので、是非食べ比べて頂ければと思います。
今後の展望―
店舗での販売のみならず、今後はBtoBにもチャレンジしたい、と坂本さんは語ります。
『お店ではお陰様で、新鮮なしらすを求めて遠方からいらっしゃる方もおります。当店ではしらすの量り売りを行っており、近年徐々にしらす好きの方に浸透してきたという感触があります。また、冷凍すればしらすは日持ちしますので、今後は個人のお客様にとどまらず、法人や個人事業主の方にも販売していきたいと考えています。キロ売りもしていますので、居酒屋さんを始め飲食店の方にも、新鮮なしらすをお届けしたいですね。』
新鮮なしらすをご家庭で―
『地元・大洗で取れたいわしの稚魚を、釜茹で・干し作業など心を込めて作っています。「大洗のしらす職人」として、これからも皆様に美味しいと言って頂ける商品を提供できるように頑張って行きますので、宜しくお願い致します。』
通販のみならず、大洗に来られた際には是非、美味しいしらすを「にんべんいち」でお買い求めください。