幸重 -無添加で作る“大洗ブランド認証品”干し芋「紅はるか」-

『近くのお寺の帳簿を見るとずっと大洗町に土着して農業をしていて、だいたい380年位前の記録が残っています。その前もやっていたと思うんですけどネズミにかじられちゃって、それ以前の記録がわかんないんです。』

 

そう語るのは、大洗町で農産物加工業を営む、幸重・代表の小野瀬三雄さんです。

第6次産業への歩み―

『元々芋づくりをしていたのですが、30~35年くらい前に、芋がだぶついてしまい売れなくなってしまった事がありました。それをきっかけに自分の所で商品の加工も始めました。それまでは芋を生産して加工屋さんに売っていたんですけど、それができなくなってしまったので。』

 

大洗で長きに渡り農業を営んでいた幸重に訪れた危機に、小野瀬さんは柔軟に対応し、第6次産業へとシフトしていきました。

 

『芋に関しては、戦前は保存食として作っていました。まぁ売れなくても自分たちで食べるために作っておくのも良いか、と。保存食という意味では、今まさにコロナで大変な事になっていますけど、芋は保存食として持っておくといざという時に助かりますよ。冷凍してしまえば1~2年は持ちますから。でも食べだすと止まらなくなってしまうのは注意が必要です(笑)。』

 

幸重が手掛けているのは芋だけではありません。それぞれの商品に、第6次産業への工夫が施されています。当然ながら、どう商品を売っていくかというのは非常に重要な要素であり、「ただ農業をするだけでは厳しい」という切実なメッセージも。

 

『芋に関しては商品の利益を確保する手段として試行錯誤してきました。10年前くらいから「野菜の直売所」がブームになって、それに乗って色々販路を広げていった形です。直売所に出した所から枝葉になって広がって、今では読売新聞や郵便局(ゆうパック)での販売という形に広がって行きました。読売新聞は5~6年前から、郵便局は3年くらい前から新しく始めました。我々も自分の力で売らなくてはいけない。だから売るために販路も開拓しなくては、と必死ですよ。販路を考えずに「最近干し芋が流行っているから」と農業を始めても、採算的には厳しいんじゃないかなと思います。

 

また芋以外だと、米・馬鈴薯を作っています。米はJAやお米屋さんに、馬鈴薯は農協が間に入って、カルビーの「ポテトチップス」用として作っています。農協が間に入ってくれて、農協とカルビーさんが契約しているんです。そうすると我々も使用目的がハッキリして、金額も安定するんですよ。個人で売るのってやっぱり大変で、資材や箱代、人件費など諸経費が色々かかるじゃないですか。その点、決まった金額で箱に入れたまま買い取って貰えるので、余計な経費が掛からずありがたいんですよ。ちなみに米の7割8割は牛豚鶏の肥料米として出荷しています。これだと食用米の相場に左右されづらく、金額が安定しているんですよ。』

 

干し芋「紅はるか」作りのこだわり-

 

幸重の干し芋「紅はるか」は、大洗町のイメージ・特色ある地域資源を活用し、優れた農産物・水産物および加工品を作り出す業者に認証される「大洗ブランド認証品」にも指定されている商品です。その商品の特徴について伺いました。

 

『一番の特徴は、やはり無添加で作っている所です。自然の力で甘味を出していく努力をしています。デンプンが糖分に変わり、甘味が出る、その繰り返しです。 最近は無添加の干し芋が「健康食品」としてメディアにも取り上げられていたりしておりまして、需要は高まっていると思います。また農地は、茨城町~大洗~鉾田の涸沼周辺にあり、最近は機械が大型になってるのでそれに応じて、作業がやりやすい場所、良い物が出来そうな土、そういう所を見極めています。作るものによって黒土より赤土の方が良いとか、芋の甘味を出すのに窒素分の多い黒土の方が良いとか相性がありますので。』

 

茨城県でこれだけ「干し芋」作りが盛んなのは、原料芋が育つ土が芋作りに適しているからです。

 

『土は本当に大事ですよ。「玉豊」という品種はひたちなかの方で作るのが適しているのですが、鹿行の方に行くとあまり良くない、みたいな相性もあります。そうした時に品種改良で新しく「紅はるか」が登場しました。これはそれほど土質を選ばないものだったので、茨城中に広まったんです。加えて「紅はるか」は見た目は綺麗で甘くて柔らかいという三拍子揃ってたから、2~3年で一気に広まりました。』

 

こだわりの「土」で「無添加」で育てた「紅はるか」。そんな商品を作り続ける小野瀬さんの芋作りへの想いを聞きました。

『常に思っている事は「良いものを作って良いものを出す。そうすればお客さんが自然と見てくれる」と信じています。だからやっぱり良いものを作らなきゃ駄目だよ、と。1回でも変なものを出してしまったらそれだけでアウト、という気持ちでやっています。逆に良いものを出し続ければ、おのずとリピートに繋がって、それが枝葉のように分かれていく。そんな所を大事にしたいと思います。』

 

大洗で商品が買える場所-

『一見民家の入口のように見える場所に加工場があり、そこで商品を直売しているほか、大洗海・山直売センター「いきいき」 でも販売しています。

町内中心地から、「潮騒の湯」「大洗サンビーチキャンプ場」方面へ向かう途中の場所です。

門の中に入ると、こちらの直売所がありますので、そちらでお買い求め頂けます。

 

それともう一つ。私の母親の実家が「丸五水産」という魚屋をやってまして、そちらにも干し芋を置いています。』

■丸五水産

〒311-1301 茨城県東茨城郡大洗町磯浜町226 [営業時間]8:00~18:00
https://goo.gl/maps/k1M8bxdeWA5NtJN16

 

大洗町に行かれた際には、直売店や丸五水産にも是非お立ち寄りください。

 

当サイトでは幸重の干し芋は「400g」「800g」「せっこちゃん 300g (ハシッコ)」の3種類をラインナップしています。3つ目の「せっこちゃん」は、商品製造の際に出てしまう「切れ端」いわゆる「ハシッコ」を集めた商品で、通常商品と味は変わらない上、細かくて食べやすくお手頃な価格という事で、最近は大量購入されるお客様も多くなっています。

 

大洗で作られた無添加・こだわりの干し芋「紅はるか」をご家庭でお楽しみ下さい。

 

お店情報

  • 営業時間:【直売所】10:00~15:00
  • 定休日:日曜日、年末年始定休
  • 住所:〒311-1311 茨城県東茨城郡大洗町大貫町194